AI概要
【事案の概要】 東芝(1審原告)が、同社の取締役兼代表執行役であった亡H、1審被告D、E、F、Gの在任中に行われた会計処理が会社法431条に違反する違法なものであり、善管注意義務違反があったと主張して、会社法423条1項に基づき、亡Hに対し19億円、被告Dに対し32億円、被告Eに対し28億円、被告Fに対し27億円、被告Gに対し17億円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審は、被告D・E・Gに対する請求を一部認容したが、東芝及び敗訴した被告らが双方から控訴した。問題とされた会計処理は、TIC米地下鉄案件、ETC案件、WEC案件、バイセル案件、キャリーオーバー案件の5類型に及ぶ。 【争点】 主な争点は、(1)各案件における会計処理が米国会計基準に違反する違法なものであったか、(2)違法な会計処理があった場合、それが有価証券報告書等における重要な事項についての虚偽記載に当たるか、(3)取締役らの善管注意義務違反の有無である。 【判旨】 控訴審は、原判決中の被告D・E・Gの敗訴部分を全て取り消し、東芝の請求を全部棄却した。各案件の判断は以下のとおりである。TIC米地下鉄案件については、平成23年度第4四半期から平成26年度第1四半期までの各期について検討し、平成26年度第1四半期末において約6430万米ドルの損失を前提とした引当金を計上すべきところ、損失見積額を約38億8900万円として引当金を計上した可能性があると認定した。ETC案件については、平成25年度第1四半期末に少なくとも約36億円、同第2四半期末に約45億円、同第3四半期末に約87億円の損失を前提とした引当金を計上すべきであったと認定した。しかし、いずれの案件についても、東芝の企業規模に照らせば、投資者の判断に影響を与えるという観点から、有価証券報告書等に重要な事項につき虚偽の記載をしたものとはいえず、米国会計基準に違反する違法な会計処理とはいえないと判断した。WEC案件、バイセル案件及びキャリーオーバー案件については、そもそも違法な会計処理が行われたとは認められないとした。以上から、東芝の請求はいずれも理由がないとして、全部棄却した。