私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関し、テストイベント計画立案等業務委託契約等の入札について、大手広告代理店等7社の従業者らが、組織委員会の幹部職員や最大手広告代理店の従業者らを通じて、受注予定事業者を決定し、基本的に当該事業者のみが入札を行うことなどを合意した独占禁止法違反(不当な取引制限)の事案である。被告会社は広告代理業等を営む事業者であり、被告人は同社の2020推進室本部長兼執行役員として本件に関与した。合意等の対象となった契約の実績額は合計約437億円に上り、全26会場案件中24案件で受注予定事業者が受注するに至った。 【争点】 弁護人らは、テストイベント計画立案等業務委託契約について不当な取引制限罪が成立することは認めつつも、その後の各テストイベント実施等業務委託契約及び各本大会運営等業務委託契約については同罪は成立せず無罪であると主張した。具体的には、実施業務及び本大会業務が「一定の取引分野」に含まれるためには、計画業務の入札段階で随意契約による同一事業者への発注方針が組織委員会と事業者側で合意・連絡されていた必要があると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、組織委員会において計画業務を受注した事業者が実施業務及び本大会業務も受注する方針が存在し、被告会社を含む各事業者もその可能性が相当程度に高いことを前提としていたと認定した。不当な取引制限罪の成立に必要な「意思の連絡」は、事業者間で明示的に合意することまでは不要であり、直接又は特定の者を媒介として相互に他の事業者の入札行動等を認識し暗黙に認容すれば足りるとした上で、本件基本合意の対象には実施業務及び本大会業務も含まれると判断し、弁護人らの主張を退けた。量刑については、大規模な入札談合事案であり公正な競争を阻害した程度が大きい一方、合意内容は受注予定事業者のみが入札を行うことにとどまり入札価格等の情報交換まではなかったこと、最大手事業者以外は組織委員会幹部や同社の意向に配慮せざるを得ない状況があったこと等を考慮し、被告会社を罰金2億円(求刑どおり)、被告人を懲役1年6月・執行猶予3年(求刑どおり)とした。