AI概要
【事案の概要】 成田国際空港株式会社(原告)が、成田空港の滑走路用地として取得した土地(M40番の土地及びM41番1の土地)の一部を被告が無権原で占有しているとして、所有権に基づき、土地の明渡し及び堆肥場(工作物)の収去を求めた事案である。被告は、祖父の代から約100年にわたり同地で農業を営む農家であり、成田空港建設に反対する三里塚芝山連合空港反対同盟に属していた。本件訴訟は平成18年に提起され、約18年にわたる長期審理を経て判決に至った。 【争点】 主な争点は、(1)本件訴えの適法性(農地法違反、権利濫用・信義則違反の有無)、(2)原告の土地所有及び被告の占有の有無、(3)空港公団による土地売買契約の無効(農地法3条・5条違反)、(4)被告の占有権原(賃借権の合意又は時効取得)の有無である。特に争点(4)では、被告の父が地主との賃貸借契約に基づき耕作していた土地の範囲と、他の小作人との耕作場所の交換後に拡大された耕作地について賃借権が認められるかが中心的な争いとなった。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも認容した。争点(1)について、本件訴えは農地法20条1項に反するものではなく、また、成田空港問題シンポジウムにおける「強制的手段を用いない」との表明は、話合いの努力を尽くすべき旨の政治的・道義的な意思表明であり、一切の法的手段を放棄する趣旨ではないとして、権利濫用にも当たらないと判断した。争点(3)について、空港公団は農地を空港敷地に転用する目的で取得したものであり、農地法3条・5条の許可は不要であるとした。争点(4)について、被告の父が他の小作人と耕作場所を交換した際に地主の承諾を得た事実は認められず、また約10年間地代を支払っていなかった期間があるため賃借の意思が客観的に表現されていたとは認められないとして、賃借権の合意取得も時効取得もいずれも否定した。さらに、原告が文書提出命令に従わなかった点に言及しつつも、同意書等の信用性に疑問を呈し、これに基づく原告の主張も採用しなかった。もっとも、被告が長年にわたり農業を営んできたことを考慮し、仮執行宣言は付さないこととした。