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【事案の概要】 児童福祉法27条1項3号に基づき里親委託措置を受けて児童2名(姉妹)を養育していた原告ら夫婦が、児童相談所長による里親委託措置の解除(本件解除)の取消しを求めるとともに、予備的に里親たる地位の確認を求め、さらに本件解除及び児童との面会通信制限が違法であるとして国家賠償を請求した事案である。原告らは1年以上問題なく児童らを養育し、将来的な養子縁組も希望していたが、令和4年7月に年長児が転倒して前歯が抜落する事案が発生し、児童相談所が虐待の疑いで一時保護・調査を行った後、同年12月に里親委託措置を解除した。その後の県の調査では虐待の確証は得られず、刑事事件でも不起訴となった。 【争点】 1. 里親委託措置解除の処分性及び原告らの原告適格の有無 2. 里親たる地位の確認の利益の有無 3. 里親委託措置解除及び面会通信制限の国家賠償法上の違法性 【判旨】 裁判所は、里親と都道府県等との法律関係は民法上の準委任契約に類する公法上の契約関係であると判断し、里親委託措置の解除は委任者による契約解除権の行使であって行政処分には当たらないとして、取消請求に係る訴えを却下した。里子との安定的生活維持に対する里親の期待は事実上のものにすぎず、監護措置権も児童の福祉のための権限にすぎないと判示した。他方、公法上の契約関係に基づく里親たる地位の確認訴訟については確認の利益を認めたが、本件解除の判断が著しく不合理とはいえないとして請求を棄却した。具体的には、児童が原告による有形力の行使を一貫して供述し、医師の意見も矛盾しない中で、児童の安全確保を最優先とした児童相談所長の判断には相当の理由があるとした。面会通信制限についても、里親委託措置解除後の原告らは児童虐待防止法上の「保護者」に該当せず、違法性は認められないとして、国家賠償請求も棄却した。