平群町メガソーラー林地開発許可処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 奈良県生駒郡平群町において、参加人(事業者)が奈良県知事から森林法10条の2に基づく林地開発許可を受けて約48haの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設していることにつき、開発区域の下流域に居住する原告ら27名が、当該林地開発許可処分(令和5年2月24日付け変更許可)の取消しを求めた行政訴訟である。当初の令和元年許可後、下流水路の勾配や調整池容量の算定に重大な誤りがあることが判明し、行政指導により工事が停止された。参加人は調整池を3個から4個に変更するなどの変更申請を行い、奈良県森林審議会の審議を経て変更許可がなされた。 【争点】 主たる争点は、本件各調整池の洪水調節容量が森林法10条の2第2項1号及び同項1号の2の要件に係る審査基準に適合するとした処分行政庁の判断の適否である。具体的には、(1)大和川基準及びゴルフ場基準が林地開発許可の審査基準に含まれるか、(2)大和川基準所定の定数を用いた簡易な方法により洪水調節容量を算定してよい「通常の場合」の意味、(3)ゴルフ場基準の降雨継続時間10時間・前方集中型降雨波形の合理性、(4)切土・盛土等の工事に係る災害防止基準への適合性、(5)稜線部分の森林伐採に係る環境保全基準への適合性が争われた。 【判旨】 裁判所は原告らの請求をいずれも棄却した。まず原告適格については、開発区域下流の水路沿いに居住する原告らは水害等の直接的被害を受けることが予想される範囲の住民として原告適格を有すると認めた。調整池の洪水調節容量に関しては、大和川基準及びゴルフ場基準は河川課の行政指導基準にとどまらず、手引きの「洪水調整池の設置は、原則として県土マネジメント部河川課の指導による」との文言により林地開発許可の審査基準の内容となっていると判断した。大和川基準の解釈については、同基準の比流量はゴルフ場基準とは異なり下流河川の流下能力ではなく開発前のピーク流量に基づくものであるとし、各調整池の許容放流量が開発前のピーク流量を上回らないことを確認の上で定数により算定された必要容量を計画容量が上回っている以上、大和川基準に適合すると認めた。ゴルフ場基準の降雨継続時間10時間についても、50年確率降雨を対象としていることなどに照らし不合理とはいえないとした。切土・盛土等の主張は処分行政庁の判断過程の誤りが具体的に主張されていないとして排斥し、稜線の森林伐採に係る3号違反の主張は「自己の法律上の利益に関係のない違法」として主張自体が許されないとした。