損害賠償(本訴)請求控訴、同(反訴)請求附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 著名デザイナーX(俣野温子)の著作物を商品化した「ATSUKO MATANO」ブランド(AMブランド)のタオル等に関する紛争の控訴審である。一審原告会社はXの著作権を管理し、一審被告タオル美術館との間で平成10年にマスターライセンス契約(基本契約)を締結していた。一審被告タオル美術館は一審被告一広にサブライセンスを付与し、AM商品を製造販売していたが、一審被告らによる違法コピー等の重大な契約違反が発覚し、平成29年12月に基本契約が合意解約された。一審被告らは平成30年4月に損害賠償金の一部弁済として3億円を支払い、残額等について協議する旨の中間合意を締結した。本訴は、一審原告らが3億円を超える損害(著作権侵害、著作者人格権侵害、パブリシティ権侵害等)の賠償を求め、反訴は、一審被告らが中間合意違反を理由に約1億円の賠償を求めた事案である。原審は本訴・反訴いずれも棄却し、双方が控訴・附帯控訴した。 【争点】 (1) 著作権侵害の成否(絵柄の利用許諾の範囲、販売期間の制限の有無、商品化申請デザイン承認書と異なる商品の製造販売が著作権侵害となるか)、(2) 著作者人格権(同一性保持権)侵害の成否、(3) パブリシティ権侵害の成否、(4) ロイヤリティ未報告商品の有無と損害額、(5) 損害額の算定(著作権法114条2項の適用可否等)、(6) 反訴における中間合意の不作為義務違反・協議義務違反の成否。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却した。著作権侵害について、基本契約に個別の絵柄の許諾期間の定めがないこと、ロイヤリティ報告書に販売期間を超えた商品が記載され一審原告会社がこれを長年受領していたこと等から、個別の販売期間の制限はなかったと認定した。商品の素材やサイズの変更についても、許諾を受けた絵柄の著作権侵害とはならないとした。著作者人格権侵害については、素材や織り方の変更は絵柄自体の改変とは言い難く、著作物の創作性と関係しないとして否定した。パブリシティ権侵害については、ネームタグは専ら著作者名を示す目的で使用されたものと認定して否定した。ロイヤリティ未報告については、書類偽造を認める証拠がなく、調停委員意見書も信用性に疑義はないとしていることから、主張を排斥した。反訴についても、中間合意後に一審原告らが「承認済み商品」の範囲について主張することは直ちに合意違反とはならず、協議義務違反も認められないとして棄却した。