政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 堺市の住民である原告が、堺市議会の会派であるC市議団が令和4年度の政務活動費(広報費)として支出した広報チラシ「Cプレス堺Vol.3」の作成等に係る費用合計約108万円について、堺市議会政務活動費の交付に関する条例に違反する支出であると主張し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、堺市の執行機関である被告に対し、C市議団への不当利得返還請求等を求めた住民訴訟である。本件チラシには、C市議団の集合写真、堺市の財政状況のグラフ、議会での提案実現・否決の報告のほか、同党所属のB市長のガッツポーズ写真や市長の改革成果をアピールする記載が含まれていた。 【争点】 (1) 本件チラシの作成費用の支出が政務活動費の使途基準に違反するか否か。原告は、チラシ全体が選挙活動又は政党活動目的であると主張し、被告及び補助参加人は、広報活動としての効果を上げるための工夫として合理性があり使途基準に違反しないと主張した。 (2) 条例8条2項の「明らかに違反」との文言が不当利得返還義務の発生要件となるか。 【判旨】 裁判所は、まず条例8条2項の「明らかに違反」の文言について、使途基準違反があれば不当利得返還義務等が発生するのであり、違反が「明らか」でなければ義務が発生しないとする被告の主張を退けた。次に、広報活動の判断枠組みとして、主たる目的が政務活動としての広報であれば選挙活動等の付随的効果があっても全額が政務活動費の対象となるが、選挙活動等が主たる目的であれば充当禁止経費に該当するとし、一つの広報誌に両者が混在する場合は面積按分が必要とした。本件チラシの各部分を個別に検討した結果、題字・集合写真部分、グラフ部分、提案実現部分、提案否決部分はいずれも政務活動としての広報に該当すると認めた。しかし、裏面の市長写真部分については、B市長の選挙時の宣伝写真と同一の写真を使用し、キャッチフレーズや改革効果の強調とあいまって、社会通念上、選挙ポスターや宣伝ポスターと変わらないとして、選挙活動又は政党活動としての広報と認定した。全体の4分の1に相当する約27万円について不当利得返還義務及び不法行為に基づく損害賠償義務を認め、原告の請求を一部認容した。