著作権侵害(不法行為)による損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 一級建築士の資格を持つデザイナーである原告が、岐阜県関ケ原町(被告)が実施していた「関ケ原検定」において、原告が制作したポスター、実施概要、賞状、合格カード等のデザイン(本件各デザイン)及び原告の登録商標を無断で使用したとして、被告関ケ原町に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(347万4000円)、著作権法115条に基づく名誉回復措置、著作権法112条に基づく差止め・廃棄、商標法36条に基づく商標使用の差止めを求めた事案である。なお、原告は被告関ケ原町の個人職員ら(館長、係長、町長)に対しても同様の請求をしていたが、同一の訴訟物について先行訴訟(前訴)が確定しており、既判力が問題となった。 【争点】 (1) 原告の被告個人らに対する請求が前訴判決の既判力に抵触するか、(2) 本件各デザインの著作物性と著作権の帰属、(3) 著作権侵害行為の有無(ポスター等の複製及びジャンパー画の利用)、(4) 利用許諾の有無、(5) 商標権侵害の成否、(6) 損害額が主な争点となった。 【判旨】 裁判所は、まず被告個人らに対する請求について、前訴と訴訟物が同一であり、原告の主張が前訴控訴審の口頭弁論終結時以前の事由に基づくものであるから、前訴判決の既判力に抵触し許されないとして棄却した。著作権侵害については、本件各デザインはイラスト・文字・色彩等の選択配置に制作者の個性が表れており著作物に該当すると認め、著作権は原告に帰属すると判断した。被告関ケ原町が制作したポスター等は原告のデザインに依拠し本質的特徴の同一性を維持するものであり、複製権侵害を認定した。一方、ジャンパー画については、被告関ケ原町が原告からジャンパーを購入して使用していたにすぎず、著作権侵害には当たらないとした。被告らが主張する利用許諾については、原告が知的財産侵害警告を送付して抗議していたことも踏まえ、許諾の事実を認めなかった。商標権侵害については、原告商標1は被告ポスター等で使用されておらず、原告商標2ないし4は商標権の登録日より前に関ケ原検定の実施が終了していたことから、侵害を否定した。損害額については、関ケ原検定の受験者数が合計45人・受験料合計17万1000円にとどまること等の諸事情を総合考慮し、著作権法114条3項に基づく損害額を20万円と認定した。以上により、ポスター等のデザインの複製・頒布の差止め及び廃棄と、損害賠償20万円の限度で原告の請求を認容し、その余を棄却した。