佐賀空港自衛隊駐屯地建設工事差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 相手方(国)が佐賀空港に隣接する土地(本件各土地)を有明海漁業協同組合から買い受け、オスプレイの配備を前提とした自衛隊駐屯地新設工事を進めていたところ、抗告人ら(元漁業者ら)が、本件各土地の共有持分権に基づく妨害排除・妨害予防請求権、および人格権に基づく妨害排除・妨害予防請求権を被保全権利として、工事の仮差止めを申し立てた事案である。原審が申立てを却下したため、抗告人らが抗告するとともに、追加工事についても仮処分命令の追加申立てをした。 【争点】 1. 抗告人らが本件各土地の共有持分権を有するか。具体的には、昭和63年に佐賀県から南川副漁協へ売却された国造搦60ヘクタールの土地について、買主が漁協であったのか個々の漁業者であったのかが争われた。抗告人らは、造成地の配分は漁業補償とは別個の生活再建措置であり個人に配分されたと主張し、持分割合が土地面積で表示されていること等を物権的共有持分権の根拠とした。 2. 人格権に基づく差止請求の可否。抗告人らは、駐屯地建設により戦争に巻き込まれる危険やオスプレイ墜落の危険があると主張した。 【判旨】 福岡高裁は、原決定を支持し、抗告をいずれも棄却した。争点1について、売買契約書上の買主は南川副漁協であり、登記も漁協名義とされていること、昭和63年売買の時点で各配分資格者への具体的配分が未定であったこと、本件協定書上も個々の配分資格者には直接の使用権原がなく、持分の譲渡や承継にも制約があり、基本的には収益分配を受ける権利にとどまることから、配分資格者が得たものは漁協に対する債権的権利にすぎず、物権としての共有持分権とは認められないと判断した。また、造成地の配分は漁業権消滅に対する補償の性質を有し、生活再建措置として個人に配分されたとは認められないとした。農地法上の許可についても、仮に買主が個人であったとしても農地法3条の許可を受けた主張立証がなく、共有持分権の有効な取得は認められないとした。争点2について、戦争勃発やオスプレイ墜落により抗告人らの生命・身体が侵害される具体的危険性は疎明されていないとした。