AI概要
【事案の概要】 原告(フリーランスの編集者・女性)は、被告朝日新聞出版から委託を受け、同社発行の書籍の編集業務に従事した。原告は、編集責任者(デスク)であった被告A(同社副編集長)から、一方的な叱責、非難・侮辱等のハラスメントを受けたと主張し、被告Aに対し不法行為に基づく損害賠償(慰謝料300万円、休業損害約1475万円等の合計約1953万円)を、被告会社に対し使用者責任に基づく連帯支払及び名誉回復措置(関係者への謝罪メール送信)を求めた。あわせて、被告会社に対し、本件委託契約に基づく報酬27万円の支払を求めた。 【争点】 (1) 被告Aの原告に対する言動が不法行為に当たるか。(2) 被告Aの不法行為により原告に生じた損害の範囲(休業損害・治療費等の因果関係の有無を含む)。(3) 名誉回復措置として謝罪メール送信を命じることが適当か。(4) 原告が委託契約に基づく報酬全額の支払を受ける権利を失わないか。 【判旨】 裁判所は、被告Aが平成31年1月17日から18日にかけて、ライターやデザイン事務所担当者等も宛先に含めた電子メールで原告を「非常識」「失礼」「無礼」「非礼」と非難し、虚偽の説明をしたと印象付け、「親の顔が見たい」と記載するなどした行為、及び深夜1時の電話で業務上不要な個人情報を問うた行為等7つの行為を不法行為と認定した。これらは編集責任者という優越的関係に基づき業務の適正な範囲を超えて原告を非難し、第三者にも知られる方法で侮辱することにより人格権を侵害し名誉感情を傷つけたものと判断した。他方、原告主張の休業損害・治療費については、身体症状と不法行為との因果関係を裏付ける客観的証拠がなく、受診経緯も不自然であるとして認めず、損害は精神的苦痛に限られるとした。慰謝料50万円及び弁護士費用5万円の合計55万円の連帯支払を命じた。名誉回復措置については、具体的事実の摘示による社会的評価の低下は認められないとして棄却。委託報酬については、原告の業務遅滞は被告会社の責めに帰すべき事由によるものとは認められず、履行済みの11ページ分に応じた5万9400円の限度で認容した。