AI概要
【事案の概要】 茨城県(原告)が、県内の水海道浄水場で使用する活性炭の再生業務について、平成28年度に実施した一般競争入札において、被告ら(本町化学及びクラレ)を含む16の事業者が、事前に供給予定者及び入札価格を調整する談合行為を行ったと主張し、共同不法行為に基づき、談合がなければ形成されたであろう落札価格と現実の落札価格との差額分である損害金合計120万4520円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。公正取引委員会は令和元年に被告らに対し課徴金納付命令及び排除措置命令を発していた。 【争点】 主な争点は、①被告らの不法行為の成否と②原告の損害額である。①について、原告は16社が本件基本合意に基づき供給予定者及び入札価格を事前に調整した談合行為が不法行為を構成すると主張した。被告クラレは、本件基本合意から離脱したダイネンの窓口業者が本件入札に参加しており、同社との間で価格競争が行われていたため公正な競争は阻害されていないと反論した。被告本町化学は、自社の行為は事務的・機械的な連絡に過ぎず違法性を欠くと主張した。②について、原告は談合終了後の他浄水場の入札落札価格から想定落札価格を推認すべきと主張し、被告らは業務内容の相違や経済的要因の変動を理由にその推認方法を争った。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件入札にはダイネンの窓口業者である鹿島商会が参加しており、ダイネンは本件入札の約10か月前に本件基本合意から離脱していた点に着目した。前年の同種入札の落札価格が1890万円であったのに対し、被告クラレの窓口業者である筑宝産業は515万4800円、ダイネンの窓口業者である鹿島商会は646万9800円と著しく低廉な価格で入札しており、両者の入札価格が近接していることから、少なくとも両者の間では価格競争の原理が相当程度働いていたと認定した。したがって、仮に被告らが個別調整行為をしていたとしても、原告の公正な競争の下に形成された低廉な価格で契約を締結する利益が侵害されたとは認められないと判断し、原告の請求を棄却した。