保証金返還請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 一審原告(有限会社古谷商店)は、一審被告(株式会社アーバンリグ)との間で、廃プラスチックの熱分解油化・炭化再生資源回収装置(被告製品)の販売代理店契約を締結し、契約保証金300万円を差し入れた。同契約は遅くとも令和3年9月30日に終了したため、一審原告が保証金の返還を求めたところ、一審被告が秘密保持義務違反による債務不履行、不正競争防止法違反(2条1項7号・8号)及び代理店契約18条1項違反を理由とする損害賠償請求権を自働債権とする相殺を主張して争った事案である。原審が一審原告の請求を全部認容したため、一審被告が控訴した。 【争点】 (1) 一審原告の秘密保持義務違反の有無(争点1)、(2) 一審被告の営業秘密の使用による不正競争の成否(争点2)、(3) 一審原告が被告製品の問題点を顧客に伝えたメール送信が代理店契約18条1項違反となるか(争点3)、(4) 一審原告が契約終了前に競合製品を製造・販売したか(争点4)、(5) 相殺における損害額(争点5)。 【判旨】 控訴棄却。争点1につき、本件情報①は一審被告から直接取得したものではなく契約上の秘密保持義務の対象外であり、本件情報②も契約に基づく取得の立証がなく、本件情報③は漏洩の事実が認められないとした。争点2につき、本件情報①・②について一審被告が営業秘密として管理していた事実の立証がなく、秘密保持契約書等の客観的証拠も欠くとして不正競争の成立を否定した。争点3につき、メール送信は客観的には契約18条1項違反を構成するものの、被告製品の製造元であるワンワールド社が顧客の不具合対応を怠るなど不誠実な対応をしていた事実が認められ、一審原告が自らの営業上の信用を守るために事実関係を取引先に伝えることは許されるべきであるとし、ワンワールド社と同視されるべき一審被告がこれを理由に損害賠償請求することは信義則上許されないと判断した。争点4につき、契約終了前の競合製品製造・販売の事実を推認するに足りる証拠はないとした。以上により相殺の抗弁は全て採用できず、原判決は相当であるとして控訴を棄却した。