生活保護基準引下げに基づく保護費変更(減額)処分取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 広島県内に居住し生活保護を受けていた原告らが、平成25年厚生労働省告示第174号による保護基準の改定(平成25年改定)に伴い、各福祉事務所長から生活扶助費を減額する保護変更決定を受けたことにつき、同改定は憲法25条を具体化した生活保護法8条等に反し違法であるとして、その取消しを求めた事案の控訴審である。原審は、デフレ調整分として生活扶助基準を4.78%引き下げた点に違法があるとして原告ら(外国籍の1審原告番号9を除く)の請求を認容する一方、1審原告番号9の訴えは処分性を欠き不適法として却下した。双方が控訴し、1審原告番号9は当審で予備的に金銭請求を追加した。 【争点】 (1) デフレ調整として生活扶助基準を4.78%引き下げた厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱・濫用があるか、(2) 昭和29年通知に基づく外国人に対する保護変更措置に取消訴訟の対象となる処分性が認められるか、(3) 昭和29年通知に基づく金銭請求の当否及び将来請求の必要性。 【判旨】 控訴棄却(原判決維持)。裁判所は、デフレ調整について、(1) 生活保護受給世帯の消費実態と乖離した一般世帯のウエイトを採用した結果、テレビやノートパソコン等の教養娯楽用耐久財の大幅な価格下落が過大に反映されたこと、(2) 家電エコポイント制度や地上デジタル放送移行という特別要因によりテレビのウエイトが増大した平成22年基準のウエイトをあえて用いて平成20年の物価指数を遡って算定するという異例の方法をとり、下方バイアスを増幅させたこと、(3) 一時的に物価が上昇した平成20年を算定期間の始期としたことについて、いずれも統計等の客観的数値との合理的関連性や専門的知見との整合性を著しく欠くと判断し、厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱・濫用があり平成25年改定は生活保護法3条・8条2項に違反し違法であるとした。外国籍の1審原告番号9については、昭和29年通知は法律の委任に基づくものではなく、同通知に基づく保護変更措置は処分性を欠くとして主位的請求の訴えを却下し、予備的金銭請求も同通知に基づく措置の法的性質は贈与契約であるとして棄却した。