損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(原告)は、被控訴人(被告)である演芸家に対し、段ボール等で制作した小道具(計103点)を提供していたところ、被告が著作者名を表示せずに演芸で使用したとして、①著作者人格権(氏名表示権)侵害に基づく慰謝料500万円等の支払及び謝罪文の掲載、②小道具の制作者が原告であることを公表する旨の合意(本件合意)の債務不履行に基づく同額の損害賠償を請求した。原審は請求をいずれも棄却し、原告が控訴した。 【争点】 (1) 本件各小道具の著作物性(争点1)及び著作者性(争点2)、(2) 氏名表示権侵害の成否(争点3)—原告が氏名を表示しないことに同意していたか、(3) 小道具の制作者が原告であることを公表する旨の合意(本件合意)の成否(争点6)。特に争点3では、原告が被告の先輩後輩関係による圧力で同意を強いられたか、争点6では平成26年の口頭でのやりとりにより公表合意が成立したかが争われた。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、原審と異なり争点1・2についても判断し、本件各小道具はすべて原告の個性が反映された美術の著作物であり、原告が著作者であると認定した。被告の職務著作の主張も、雇用関係等がないとして退けた。しかし争点3について、原告は弁論準備手続で被告演芸における制作者名不言及が当然の前提であったことを認めており、また約6年間にわたり氏名非表示のまま小道具提供を続けていた経緯から、氏名を表示しないことへの同意があったと認定した。先輩後輩間の遠慮はあったが、社会通念上許容される限度を超える圧力は認められないとした。争点6について、令和2年10月以前に公表合意が成立した証拠はなく、同年10月以降の経緯から令和3年2月頃に本件小道具103(跳び箱)について公表の約束が成立したと推認したが、被告はツイッターで告知を行い履行済みであるとして、債務不履行も否定した。