私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告会社は国内有数の広告代理店であり、被告人はその従業者として、東京2020オリンピック・パラリンピック大会(東京大会)のテストイベント計画立案等業務委託契約等の受注に関する業務に従事していた。被告人は、組織委員会大会準備運営第一局次長のBや、被告会社を含む関係事業者7社の従業者らと共謀の上、平成30年2月頃から同年7月頃までの間、面談等の方法により、テストイベント計画立案等業務委託契約等について受注予定事業者を決定するとともに、基本的に当該事業者のみが入札を行うことなどを合意し、これに従って受注予定事業者を決定するなどした。これにより、関係事業者7社が共同して同委託契約等の受注に関し相互に事業活動を拘束・遂行し、公共の利益に反して取引分野における競争を実質的に制限したとして、独占禁止法違反(不当な取引制限罪)に問われた事案の控訴審である。 【争点】 弁護側は、①被告人とBらとの間に不当な取引制限罪の成立に必要な意思連絡がなく、被告会社は合意の枠外にあった、②競争は実質的に制限されていない、③一定の取引分野にテストイベント実施等業務及び本大会運営等業務が含まれるかには合理的疑いがある、として事実誤認ないし法令適用の誤りを主張した。特に、被告人がBの競争回避意図を認識していたとはいえないこと、被告会社がBの意向に反した入札参加をしていたこと、落札率が30%台から70%台と通常の談合事案と異なること等を指摘した。 【判旨(量刑)】 東京高裁は原判決の認定・判断に不合理な点はないとして控訴を棄却した。意思連絡について、被告人はBとの面談を通じ、Bに受注が適切と考える事業者があること等を認識し、他の事業者もBの意向に沿って行動することを相当程度の確実性をもって予測した上で、Bの意向に沿った協業調整等を行っていたと認定した。一部案件でBの意向に反した入札参加があっても、全ての案件について歩調を合わせる意思がなければ意思連絡が成立しないものではないとした。競争制限については、全26会場案件中16案件で合意に沿った事業者のみが入札し、24案件でBの意向に沿った事業者が受注した結果等から、合意が拘束力をもって有効に機能していたと認めた。取引分野の範囲についても、テストイベントが本大会の運営能力向上目的であり、組織委員会・各事業者とも計画業務から本大会業務までを一連のものと認識していたとして、実施業務及び本大会業務を含むとした原判決を支持した。