不法行為損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 学校法人B大学の副学長であった原告が、アメリカンフットボール部の薬物事件への対応をめぐり、理事長である被告から、各種会議への出席禁止(本件行為1)、違法な辞任勧告(本件行為2)及び学部長会議における不適切な発言(本件行為3)というパワーハラスメントを受けたと主張し、不法行為に基づく損害賠償1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告は、被告の各行為により本件薬物事件の全責任が原告にあるかのような印象操作をされ、社会的評価を低下させられたと主張した。 【争点】 (1) 各種会議への出席禁止(本件行為1)が不法行為となるか。(2) 被告による辞任勧告(本件行為2)が不法行為となるか。被告が警察の捜査や文部科学省の意向について虚偽の事実を告げて辞任を迫ったか。(3) 学部長会議における「プライバシーに関して非常に失礼なことが生じると思う」との発言(本件行為3)が原告の社会的評価を低下させる不法行為となるか。(4) 原告の損害額。 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却した。本件行為1について、会議出席を控えるよう伝える意思決定の主体は被告個人ではなく執行部会メンバー全体であり、顧問弁護士の意見も踏まえた組織的判断であったこと、実際に原告は期間中も6回会議に出席し完全な排除ではなかったことから、被告個人にパワハラを理由とする不法行為は成立しないとした。本件行為2について、被告の辞任説得は薬物事件の幕引きを図る方法の一つとしての率直な意見交換であり、優越的関係を背景に業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとは認められず、文科省や警察に関する発言も虚偽の認識に基づくものではなかったと判断した。本件行為3について、被告の発言は理由の説明を差し控える趣旨にとどまり、原告の社会的評価や名誉感情を違法に侵害するものとは認められないとした。