AI概要
【事案の概要】 被告東芝が発行する株式を取引所市場で取得した原告ら(個人投資家約150名)が、被告東芝が提出した平成20年度から平成26年度第3四半期までの有価証券報告書等に、不適切な会計処理に起因する重要な事項についての虚偽記載があり、これによって損害を被ったと主張して、被告東芝に対しては金商法21条の2及び民法709条に基づき、被告東芝の役員であった者ら(亡Aの相続人を含む)に対しては金商法24条の4が準用する22条、民法709条・719条、会社法429条1項・2項等に基づき、損害賠償金及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。被告東芝は、工事進行基準案件・映像事業・半導体事業・パソコン事業において累計約2248億円の過年度決算修正が必要となり、第三者委員会の調査を経て訂正報告書を提出していた。 【争点】 (1) 有価証券報告書等における「重要な事項についての虚偽記載」の有無及びその範囲、(2) 被告東芝の金商法21条の2及び民法709条に基づく責任の有無、(3) 被告役員らとの関係での虚偽記載の有無、(4) 被告役員らの各種法的責任の有無、(5) 損害額及び相当因果関係の有無(取得自体損害か高値取得損害か、信用毀損・ろうばい売りによる損害の相当因果関係、市場要因による控除、取得時期に応じた修正等)。 【判旨】 一部認容。裁判所は、被告東芝が争わないと明確に主張した第171期・第173期・第174期の各有価証券報告書の当期純損益について「重要な事項についての虚偽記載」を認定した(減損損失追加計上分等を除く)。被告東芝については、組織体としての不適切な会計処理により民法709条の不法行為責任を認めた。一方、被告役員らについては、原告らが虚偽記載を基礎付ける具体的事実を主張しておらず、被告役員ら自身は虚偽記載を認めていないとして、全ての請求を棄却した。損害論では、取得自体損害を否定し、高値取得損害及びろうばい売り等による損害を認めた。虚偽記載と因果関係のある株価下落の期間を平成27年4月3日から同年9月29日まで(下落幅220.5円)と認定し、市場要因(電機産業他社の下落率等を考慮)による60%を控除した上、取得時期に応じた虚偽記載の累積度合い(30%・60%・100%)による修正を行い、民訴法248条により相当な損害額を認定した。