AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社DAPリアライズ)は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする特許権(特許第4555901号)を有しており、被告(シャープ株式会社)がSnapdragonプロセッサを搭載したスマートフォン等の被告各製品を製造・販売した行為が本件特許権の侵害に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償金9億2300万円の一部である1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件発明は、携帯情報通信装置において、グラフィックコントローラが単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み・読み出しを行い、内蔵ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度の画像と、それより大きい解像度の画像を外部ディスプレイに表示できるようにした構成に関するものである。 【争点】 (1) 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)。具体的には、被告各製品の「グラフィックコントローラ」が「ビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」との構成を有するか(争点1-1)、「単一のVRAM」に対する書き込み・読み出しの構成を有するか(争点1-2)、2種類の解像度のビットマップデータの読み出し構成を有するか(争点1-3)。(2) 先行文献(乙6発明・特開2001-197167号)に基づく新規性及び進歩性欠如(争点2)。(3) 損害の発生及びその額(争点3)。 【判旨】 裁判所は、事案に鑑み争点2(進歩性欠如)から判断した。乙6文献に記載された携帯電話機の発明(乙6発明)を認定し、本件発明との相違点として、(1) 通信部が画像情報を伝達する無線信号を受信しCPUに送信する構成が明らかでない点(相違点1)、(2) 高解像度画像をディスプレイパネルに表示する際にパネルと同じ解像度のビットマップデータを読み出す構成が明らかでない点(相違点2)の2点を認定した。相違点1については、乙25・乙28・乙11等の文献から、通信部が画像情報を伝達する無線信号を受信しデジタル信号に変換してCPUに送信する構成は優先日当時の技術常識であったと認め、乙6発明への適用は容易と判断した。相違点2については、乙13・乙44・乙41等の文献から、画像データの解像度が表示パネルより大きい場合に同じ解像度のデータを読み出して表示させることは優先日当時の技術常識であったと認め、同様に容易想到と判断した。以上から、本件特許は進歩性を欠き特許無効審判により無効にされるべきものと認め(特許法123条1項2号、29条2項)、原告は本件特許権を行使できないとして(同法104条の3第1項)、原告の請求を棄却した。