AI概要
【事案の概要】 引きこもり等の自立支援を目的とする一般社団法人(被告法人)が運営する寄宿型施設「I校」に入寮していた原告ら3名が、被告法人の代表者(被告D)及び従業員(被告E・被告F)に対し、違法な連れ出し及び監禁を理由とする不法行為に基づく損害賠償と、自立支援に関する準委任契約の債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案である。原告Aは約4か月間、原告Bは約2年2か月間、原告Cは約5か月間それぞれI校に入寮していた。被告らは、保護者からの依頼に基づき、事前に本人に告知することなく自宅を訪問し、施設の生活環境を説明せずに虚偽の説明や威迫的言辞を用いて原告らを施設に連れ出していた。 【争点】 主な争点は、(1)各原告に対する連れ出し行為及び施設における生活強制が不法行為を構成するか、(2)不法行為による損害額、(3)準委任契約上の債務不履行の成否である。被告らは、原告らの承諾を得て入寮させたこと、施設における自由の制限には合理的理由があること、保護者の委任に基づく緊急避難的行為であること等を主張して争った。 【判旨】 裁判所は、原告A及び原告Bについて不法行為の成立を認め、原告Cについては請求を棄却した。I校では、各所にストッパー・鉄格子・ブザー・監視カメラが設置され、非常口は施錠され、1日複数回の点呼や深夜の居室立入確認が行われ、携帯電話・金銭・身分証の所持が禁止され、手紙も検閲されており、入寮者が自由に移動することが著しく困難な状況にあったと認定した。連れ出し行為については、被告らがパンフレット等を持参せず生活環境を一切説明しないまま、虚偽の説明や威迫的言辞を用いて本人を連れ出し、チャイルドロックのかかった車で施設に搬送したことから、真摯な承諾を欠くと判断した。連れ出し行為と施設における自由の制限は一連の不法行為を構成するとし、被告Dらの共謀も認定した。緊急避難の主張については、保護者への経済的支援の要求自体は違法ではなく補充性も認められないとして排斥した。慰謝料は原告A・原告B各80万円、弁護士費用各8万円の合計各88万円を認容した。原告Cについては、当事者尋問に正当な理由なく出頭しなかったため陳述書の信用性が認められず、請求を棄却した。債務不履行に基づく請求は、第三者のためにする契約における受益の意思表示が認められないとして、全原告について棄却した。