特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和6(ネ)10080
- 事件名
- 特許権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2025年5月21日
- 裁判官
- 水野正則
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和5(ワ)8403
AI概要
【事案の概要】 本件は、「笠木下換気構造体」に関する特許権(特許第5269264号)を有する控訴人(株式会社ハウゼコ)が、被控訴人(株式会社トーコー)の製品を部材とする笠木下換気構造体が本件特許の技術的範囲に属し、被控訴人製品はその「生産のみに用いられる物」に該当するとして、特許法100条1項・2項に基づく差止め・廃棄及び不法行為に基づく損害賠償3000万円(一部請求)を求めた事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は、被控訴人製品を部材とする笠木下換気構造体が構成要件C(「通気性能及び防水性能を発揮する換気部材」を備えること)を充足せず、均等侵害も成立しないとして請求を棄却した。 【争点】 (1) 構成要件Cの文言侵害の成否。「換気部材」自体が通気性能及び防水性能を有する必要があるか、それとも配置形態を含めた換気構造体全体として判断すべきか。(2) 本件特許が分割出願(孫出願)であることを踏まえ、本件発明の課題・特徴的技術思想は構成要件Dにあり、換気部材に関する構成要件Cは課題解決に関わらないといえるか。(3) 均等侵害の第2要件(置換可能性)及び第3要件(置換容易性)の充足性。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、構成要件Cの「換気部材」は部材自体が通気性能及び防水性能を有することを要するとした原判決の解釈を支持した。控訴人が主張する「第1の判断手法」(配置形態を含めて判断)及び「第2の判断手法」(防水寄与部分と通気寄与部分の存在で判断)はいずれも採用できないとし、被控訴人製品の傾斜部⑤は通気可能な領域を狭めるものであり通気性能に寄与するとはいえないと判断した。分割出願の経緯についても、本件発明の課題は本件明細書の記載に基づいて認定すべきであり、構成要件Dのみが特徴的技術思想であるとは解されないとした。均等侵害については、第2要件は課題認定の誤りを前提とする主張であり採用できず、第3要件についても換気部材を傾斜部構造に置き換えることには阻害要因があるとした原判決の判断に不合理な点はないとして排斥した。