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【事案の概要】 被告人は、令和4年11月19日午後、福岡県嘉麻市の自宅において、実子である生後2か月の乳児(被害者)に対し、その両脇を両手でつかんで身体を少なくとも10回程度激しく揺さぶった上、約50cmの高さからベッド上に落下させるなどの暴行を加え、両側急性硬膜下血腫、左眼底出血、延髄及び頸髄損傷、低酸素性虚血性脳症等の傷害を負わせた。被害者は意識が戻らず、人工呼吸器なしでは生活できず、胃ろうによる栄養補給に頼る状態となり、回復の見込みのない重症脳機能障害及び重度の精神運動発達遅滞の後遺症が残った。被告人は警察官として勤務していたが、仕事や育児のストレスを抱える中、妻の不在時に眠っている被害者を見て妬ましく思い、足の裏を押して起こした上、泣き止まない被害者に立腹して突発的・衝動的に犯行に及んだものである。 【判旨(量刑)】 裁判所は、首も据わっていない生後2か月の乳児に対する暴行の態様が悪質であること、被害者に回復の見込みのない重い傷害を負わせてその未来を奪った結果が極めて重大であること、何ら落ち度のない被害者に理不尽に苛立ちを募らせて感情を爆発させた経緯に厳しい非難が免れないことを指摘した。他方、前科前歴がないこと、捜査段階の途中から事実を認めて反省の弁を述べていること、被害者の母である妻が刑事処分までは望んでおらず被告人の監督を申し出ていること、犯行数分後に119番通報して救命行動に出たこと、警察官として真面目に勤務してきたが停職処分を受けて依願退職し社会的制裁を受けていることを考慮した。しかし、これらはいずれも一般情状であり量刑上の考慮にも限りがあるとし、被害結果の重大性に照らせば執行猶予が相当な事案とはいえないとして、求刑懲役5年に対し、懲役3年6月の実刑を言い渡した。