延長登録出願却下決定取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和6(行コ)10007
- 事件名
- 延長登録出願却下決定取消請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2025年5月26日
- 裁判官
- 水野正則
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和5(行ウ)5008
AI概要
【事案の概要】 控訴人(エフ・ホフマン―ラ・ロシュ社)は、「医薬組成物」に関する特許権を有し、その通常実施権者である中外製薬が製造販売承認を受けた医薬品(オビヌツズマブ)について、添付文書の投与速度に関する記載の改訂(PMDAへの届出・受理)を「処分」と捉え、特許権の存続期間延長登録出願を行った。しかし特許庁長官がこれを却下したため、同処分の取消しを求めて出訴した。原審(東京地裁)が請求を棄却したため控訴した事案である。 【争点】 (1) 添付文書改訂相談を経た届出・受理が、特許法施行令2条2号イ所定の「処分」(薬機法14条9項の一部変更承認)に該当するか。控訴人は、PMDAが投与速度の上限を指示し事実上禁止していた使用態様が、添付文書改訂により解除されたのであるから、一部変更承認と実質的に同一であると主張した。 (2) 仮に直接該当しないとしても、特許法施行令2条2号イの類推適用が認められるか。控訴人は、投与速度を用法・用量に記載する場合と使用上の注意に記載する場合とで延長登録の可否が異なるのは不公平であり、施行令の不備を補うため類推適用すべきと主張した。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、本件医薬品の投与速度は製造販売承認の対象外であり、PMDAの指示は行政指導にとどまるため、添付文書改訂の届出・受理は承認取得者の権利義務に直接変更を生じるものではなく、一部変更承認には当たらないと判断した。また、特許法施行令2条2号の規定は限定列挙であり、同令は平成11年以降度重なる改正を経ても控訴人主張に係る規定が置かれなかったことや、特許権存続期間終了後は何人も自由に発明を利用できるという特許制度の根幹に鑑み、みだりに同条の規定を拡張・類推解釈すべきではないとして、類推適用も否定した。