AI概要
【事案の概要】 本件は、名称を「X線検査装置」とする発明について特許出願をした原告が、特許庁から拒絶査定を受け、不服審判請求も「請求は成り立たない」との審決を受けたため、その取消しを求めた審決取消請求事件である。本願発明は、X線を検出するセンサと制御基板とを一体的に形成したX線検出ユニットを備え、冷風機から供給される冷気をダクトを介して導風する流路により、当該ユニットの温度上昇を抑制するX線検査装置に関するものである。特許庁は、本願発明は引用文献1(X線検査装置に関する公報)に記載された発明に引用文献2(放射線検出装置の冷却構造に関する公報)の技術的事項を適用することで当業者が容易に発明できたとして、特許法29条2項により特許を受けることができないと判断した。 【争点】 (1) 引用文献2記載の技術的事項の認定の誤りの有無(取消事由1)。原告は、引用文献2では放射線センサには冷風循環系、ICチップには液体冷媒循環系という二系統の冷却手段を用いているにもかかわらず、冷風循環系のみを抽出して認定したのは恣意的であると主張した。(2) 本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定の誤りの有無(取消事由2)。原告は、本願発明の「収容部」「導風部」「流路」は引用発明に開示されていない旨主張した。(3) 本願発明の進歩性判断の誤りの有無(取消事由3)。原告は、引用文献2の技術的事項を適用しても本願発明の構成には至らず、液体冷媒循環系を取り除く変更には阻害要因がある旨主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、引用文献2の冷却装置はセンサ部の冷風循環系と信号処理回路部の液体冷媒循環系から構成されており、両者はそれぞれ異なる技術的思想として把握でき、冷風循環系のみを客観的・具体的に認定した審決に誤りはないとした。取消事由2について、原告が主張する収容部・導風部・流路に関する構成の相違は、いずれも審決において相違点1及び2として既に認定されていると判断した。取消事由3について、センサと制御基板のモジュール化は周知の常套手段であり(乙1・乙2等)、冷風機から冷気をダクトを介して供給することも一般的な技術常識であるとして、引用発明にこれらを適用して本願発明の構成に至ることは当業者が容易に想到し得たと認定した。本願発明の効果も引用発明等から予測される範囲のものにすぎないとした。