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【事案の概要】 令和6年10月27日施行の第50回衆議院議員総選挙に際し、長崎県第1区から立候補した候補者Cの選挙対策本部の事務局長であった被告人が、共犯者A及びBと共謀の上、Cに当選を得しめる目的をもって、立候補届出前の同月3日から10日にかけて、電話による投票依頼を行う「電話隊」12名に対し、1時間当たり1000円の報酬を後日供与することを申し込んでその承諾を受け、選挙運動者に対する金銭供与の約束をするとともに、立候補届出前の選挙運動をしたとして、公職選挙法違反に問われた事案である。 【争点】 被告人とA及びBとの間に共謀が認められるか。被告人は、Aに電話隊の人集めを依頼した際に「有償」「アルバイト」という言葉を用いておらず、弁護人は、被告人が相談半分でAに発言したのをAがアルバイトの人集めの依頼と勘違いしたものであり、被告人には電話隊に報酬を支払う認識がなかったと主張した。被告人自身も、電話隊がアルバイトであることは10月29日に初めて知ったと供述し、同月16日に電話隊にボランティアと言うよう注意したのは一般論として疑われたくなかったからであると弁解した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、Bの公判供述について、10月3日に被告人に時給等の条件面を確認した旨の供述がAの供述やLINE通信履歴等の客観的証拠と整合し信用できると判断した。被告人が時給900円への値下げを求めた上で最終的に1000円を了承した経緯から、人集めを依頼した時点でアルバイトとして人集めをすることを織り込んでいたと強く推認されるとした。また、選挙運動期間中に電話隊への口止めやハローワークへの申告禁止を指示したこと、警察の捜査を察知するや直ちに口裏合わせに及んだことなども、被告人に報酬支払の認識があったことを補強するとした。被告人の弁解は不自然・不合理であり信用できないとして共謀を認定した。量刑については、民主主義の根幹をなす選挙の公正を害する悪質な犯行であり、選対事務局長の立場にありながら国政選挙の公正を蔑ろにした責任は重く、口裏合わせに及んだ犯行後の情状も悪いとした上で、約3か月半の身柄拘束を受けたこと、前科前歴がないこと等を考慮し、求刑どおり罰金50万円を言い渡した。