損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 広島市立高校に在籍していた原告(高校2年生)が、問題行動(遅刻、暴言等)を繰り返したことを受け、校長が令和4年9月4日に原告の母に対し「明日から学校に来させないでください」と告げた(本件告知)ことについて、原告が、本件告知は適正な手続によらない違法な退学処分又は無期限の停学処分等に当たり、これにより転学を余儀なくされたと主張して、被告(広島市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、転学費用及び慰謝料等合計230万4753円の損害賠償を求めた事案である。 【争点】 1. 本件告知の違法性(退学・停学処分に当たるか、家庭反省指導として適正な手続が履践されたか) 2. 損害の有無及び額(転学費用との因果関係、慰謝料額) 【判旨】 裁判所は、本件告知は退学・停学処分ではなく家庭反省指導にとどまると認定した上で、家庭反省指導を選択したこと自体には一定の合理性があるとした。しかし、家庭反省指導は生徒の教育を受ける機会を相当程度制限するものであり、事実上の停学措置や自主退学勧告と受け止められないよう十分配慮すべきところ、校長は具体的な指導期間や復帰条件等を説明せず、保護者から転学手続がとられた際も引き止めなかったことなどから、本件告知は事実上の無期停学状態にした上で自主退学を促すことに主眼を置いたものであり、適正な手順・配慮を著しく欠き、教育指導上の裁量権を逸脱・濫用した違法行為であると認めた。損害については、客観的に被告高校に通い続ける道が閉ざされたとまではいえないとして転学費用との因果関係を否定したが、生徒としての地位が著しく不安定な状態に置かれ短期間で転学の重大な決断を迫られた精神的苦痛を認め、他方で原告自身の問題行動が状況を作出した面も考慮し、慰謝料20万円を認容した。