障害厚生年金不支給処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(昭和61年生まれの男性)は、平成24年9月8日を初診日とする化学物質過敏症により障害の状態にあるとして、事後重症による障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求をしたところ、厚生労働大臣から、化学物質過敏症の初診日が厚生年金保険の被保険者であった間であることを認めることができないとして不支給処分を受けた。原告は、審査請求及び再審査請求を経て、本件処分の取消し並びに障害等級2級の障害給付を支給する旨の裁定の義務付けを求めて提訴した。 【争点】 1. 化学物質過敏症の初診日が平成24年9月8日(厚生年金保険の被保険者であった間)であるか否か 2. 不支給処分の通知書に記載された理由が行政手続法8条1項の理由の提示として十分か 【判旨】 裁判所は、争点1について、1999年合意基準(6項目全合致が必要)及び石川基準のいずれの診断基準にも照らして検討した。平成24年9月8日時点では、原告の症状は咳のみで発症後約1か月と短く「健康障害が慢性的である」とはいえず、タバコ以外の化学物質への反応も認められないため「多種類の化学物質に対して反応が生じる」にも該当せず、粘膜・呼吸器系以外の器官に症状があったとも認められないため「症状が多種類の器官にわたる」にも該当しないとした。また、化学物質への曝露状況も、喫煙室前の通過程度であり発症するほどの曝露とはいえないこと、平成24年9月時点の咳症状と平成30年7月以降の多様な症状との間に約4年半の未受診期間があり連続性が認められないことも考慮し、同日時点での化学物質過敏症の発症は認められないとした。専門医の診断書や鑑定意見書についても、当時の診療録に裏付けがないとして採用しなかった。争点2については、通知書の記載から処分理由を困難なく読み取ることができ、不服申立ての便宜にも資するとして、理由の提示として十分であるとした。義務付け請求は不適法として却下し、取消請求は棄却した。
裁判要旨
申請疾病である化学物質過敏症の初診日が原告主張の日であるとは認められないとして、障害基礎年金及び障害厚生年金をいずれも支給しない旨の処分につき、上記原告主張の日において、原告が化学物質過敏症の複数の診断基準を満たしていたとは認められないこと、原告が化学物質過敏症を発症するほどに化学物質に曝露したとは認められないこと、当時の症状は約6年後の多様な症状と連続性があるとはいえないことを総合考慮すると、上記原告主張の日において原告が化学物質過敏症を発症していたとは認められないとして、上記処分が適法であるとされた事例