AI概要
【事案の概要】 原告(発明者・元取締役)が、被告会社(向陽技研株式会社)に対し、座椅子等の角度調整金具に関するドイツ及び中国登録の外国特許権4件について、主位的に移転登録手続を、予備的に特許権の原告帰属確認を求めた事案である。原告と被告は兄弟関係にある代表者を介した同族企業間の紛争であり、原告は被告在職中に発明を行い、外国特許の名義を便宜上被告としていた。両者間では専用実施権許諾契約及び基本契約が締結されていたが、被告が実施料算定の基礎となる売上金額を合計約7億8340万円過少申告していたことが発覚し、原告が基本契約を解除した。原告は、契約解除に伴う原状回復として特許権の移転登録等を請求した。 【争点】 (1) 主位的請求に係る訴えの国際裁判管轄の有無(民訴法3条の5第2項の「登録に関する訴え」該当性)、(2) 予備的請求に係る訴えの利益の有無(被告選択の適切性、即時確定の利益の存否)、(3) 本案として、本件各特許権の帰属に関する準拠法、原告被告間の特許権帰属合意の有無・内容、及び基本契約解除の効果。 【判旨】 裁判所は、主位的請求・予備的請求のいずれについても訴えを不適法として却下した。主位的請求については、外国特許権の移転登録手続を求めるものであるところ、民訴法3条の5第2項は登録をすべき地がある国に専属管轄を認める趣旨であり、同項の「登録」から知的財産権に関するものは除外されないと判断し、日本の裁判所に管轄権がないとした。予備的請求については、本件特許権4は権利者が本件中国法人のみで被告とされておらず被告選択が不適切であること、中国との間に判決承認の相互保証がなく確認判決が法律関係の不安除去に資さないこと、ドイツでの事業展開の具体的可能性がないこと等から、いずれの特許権についても即時確定の利益が認められないとして、訴えの利益を否定した。