警察庁保有個人情報管理簿一部不開示決定取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 上告人が、情報公開法に基づき警察庁長官に対して行政文書(保有個人情報管理簿122通)の開示を請求したところ、各文書の一部について不開示情報(同法5条3号・4号)が記録されているとして不開示決定を受けたため、不開示部分の取消し等を求めた事案である。警察庁長官はその後、本件変更決定により一部を追加開示したが、なお開示されない部分(本件不開示部分)が残された。原審は、不開示情報該当性の判断基準時を本件変更決定時とし、また「備考」欄についていわゆる情報単位論に基づき各欄ごとに一体的に判断して、取消請求を棄却した。 【争点】 (1) 不開示決定の取消訴訟における違法判断の基準時は、原処分時(本件決定時)か変更決定時か。 (2) 表形式の行政文書の「備考」欄に複数の小項目がある場合、欄全体を一体として不開示情報該当性を判断すべきか、小項目ごとに細分化して判断すべきか。 【判旨】 最高裁は原判決を一部破棄し、東京高裁に差し戻した。第1に、不開示決定の取消訴訟では当該不開示決定がされた時点で不開示情報が記録されていたか否かを審理判断すべきであり、本件変更決定時を基準とした原審の判断は法令違反であるとした。第2に、情報公開法が原則公開を定める趣旨に照らせば、表形式の文書であっても常に各欄ごとに不開示情報該当性を判断すれば足りるとはいえず、「備考」欄に複数の小項目がある場合には、裁判所は被告に対し小項目の有無や一体性について明らかにするよう求めた上で、合理的に区切られた範囲ごとに判断すべきであったとし、これを怠った原審には審理不尽の違法があるとした。裁判官全員一致の意見であるが、林道晴裁判官らの補足意見は情報単位論自体の否定ではなく審理運営の問題と整理し、宇賀克也裁判官の意見は情報単位論が立法者意思に反し不合理な結果をもたらすと批判した。
裁判要旨
表形式の複数の行政文書の「備考」欄に記録された情報について、当該各行政文書の「備考」欄には複数の小項目が設けられているものがあることがうかがわれるなど判示の事情の下においては、原審としては、国に対し、文書ごとに、「備考」欄に小項目が設けられているか否か、小項目が設けられている場合に、それでもなお当該「備考」欄について一体的に情報公開法(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条3号又は4号所定の不開示情報が記録されているといえるか否か等について明らかにするよう求めた上で、合理的に区切られた範囲ごとに、上記不開示情報該当性についての判断をすべきであったにもかかわらず、上記の観点から審理を尽くすことなく、「備考」欄ごとにそれぞれ一体的に上記不開示情報該当性についての判断をした原審の判断には、違法がある。 (補足意見及び意見がある。)
参照法条
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)6条1項、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条3号、4号