不開示決定処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告が、情報公開法に基づき、厚生労働大臣及び文部科学大臣に対し、新型コロナウイルス感染症対策として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の購入等に関する行政文書の開示請求をしたところ、各大臣から、調達業者とのやり取り記録文書や購入やり取り文書について「保有していない」等として不開示決定を受けた。原告は、甲事件として不開示決定の一部取消しを、乙事件として国家賠償法1条1項に基づく慰謝料110万円の支払を求めた。訴訟中の再探索により、各省が実際には電子メールや請求書等を保有していたことが判明した。 【争点】 (1) やり取り記録文書及び購入やり取り文書を各省が不開示決定時に保有していたか、(2) 保存期間1年未満の文書(電子メール等)を開示請求の探索対象から除外することの適否、(3) 電子メールのバックアップファイルの行政文書該当性、(4) 訴訟中に発見された文書について開示決定の打直しをしなかったことの国賠法上の違法性、(5) 損害の有無及び額。 【判旨】 一部認容・一部棄却。裁判所は、各省が保存期間1年未満の文書を一律に探索・開示の対象から除外していたと認定し、1年未満文書も情報公開法上の「行政文書」に該当し開示請求の対象から除外されないとして、多数の不開示決定を違法と判断し取り消した。他方、電子メールのバックアップファイルについては、システムの保守管理委託業者が専用端末で復元作業をしなければ判読可能にならないことから、情報公開法2条2項の「電磁的記録」には該当しないとした。国家賠償請求については、1年未満文書を一律に探索対象から除外したことは職務上通常尽くすべき注意義務に違反し国賠法上違法であると認め、さらに訴訟中に発見された文書について事後的に限定解釈を考え出して開示決定の打直しを回避したことも違法と認定した。もっとも、当時の過重な勤務状況等も考慮し、慰謝料10万円及び弁護士費用1万円の合計11万円の限度で請求を認容した。