危険運転致死傷被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和6年9月5日午前8時頃、前日に少なくとも約1.3Lの日本酒を飲んだ影響により、前方注視及び運転操作が困難な状態で軽四乗用車を発進させ、徳島県海部郡内の国道約12.8kmを蛇行運転を繰り返しながら走行した。同日午前8時34分頃、最高速度を上回る時速約60kmで対向車線にはみ出し、対向車の右前部に自車右前部を衝突させた。この事故により、対向車の運転手A(当時86歳)に左鎖骨下動脈損傷等の傷害を負わせ、同月25日に急性腎障害による尿毒症で死亡させるとともに、同乗者C(当時80歳)に全治約6か月の多発肋骨骨折等の傷害を負わせた。事故から約40分後の血中アルコール濃度は基準値の8倍(血液1mL当たり2.4mg)であった。 【争点】 被告人は、運転開始時及び運転中にアルコールの影響の自覚はなく、蛇行運転の記憶もないと主張した。裁判所は、血中アルコール濃度の高さや事故までの走行状況等に照らし、アルコールの影響を感じなかったとか無意識に蛇行運転を繰り返したとはおよそ考えられないとして、被告人はアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であることを認識していたと認定した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、通行量が少なくない国道でカーブやトンネルが複数存在する区間を蛇行運転し、双方の車両が大破するほどの衝突を起こした運転の危険性、何ら落ち度のない被害者の生命が奪われ同乗者も重傷を負った結果の重大性を指摘した。被害者らの娘が延命治療中止の苦渋の選択を迫られた心情にも言及し、前日にも飲酒運転をしていた上、翌日の運転を認識しながら多量飲酒した交通安全意識の低さを厳しく非難した。一般情状として、被告人が事実を認め反省の態度を示していること、前科がないことを考慮する一方、任意保険未加入で被害弁償の完済が現実的でないことも指摘し、同種事案の中で相応に重い部類に属するとして、求刑どおり懲役12年を言い渡した。