公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 宮城県議会議員であった被告人が、水産加工会社の代表取締役Aから、令和3年福島県沖地震に係る中小企業等グループ補助金(なりわい再建支援事業)について、同社の申請金額どおりに交付決定が受けられるよう県職員に働き掛けてほしいとの請託を受け、令和4年1月4日から12日にかけて3回にわたり、県水産業振興課長に対し、本会議で上司を追及することをちらつかせるなどして議員の権限に基づく影響力を行使してあっせんを行い、その報酬として政策研究会名義の口座に現金50万円の送金を受けたという、あっせん利得処罰法違反の事案である。 【争点】 弁護側は、(1)被告人はB社の申請をそのまま認めてほしいのではなく県の審査方法に問題があるため再精査を求めたにすぎず「権限に基づく影響力の行使」に当たらない、(2)被告人は塩竃水産業全体の復興のための政治活動をしていたにすぎず「請託」はなかった、(3)50万円は政策研究会の会費としての政治献金であり報酬ではない、(4)被告人に故意がなかった、と主張した。裁判所は、(1)について被告人の発言内容から申請どおりの交付を求める強い働き掛けであることは明らかであり、通常の公務員であれば困惑・畏怖するに十分な態様であったと認定し、(2)についてAの捜査段階供述は客観的事実経過と整合し信用できるとして請託を認め、(3)について政策研究会の実態がなく送金時期が働き掛けに近接していることなどから対価性を認め、(4)について請託を受けた上で働き掛けをしその直後に支払を求めて受領していることから故意も認定し、いずれの主張も排斥した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、県職員が被災状況を十分確認できず申請どおりの交付は難しいと再三説明しているにもかかわらず、本会議での追及をちらつかせるなど強引かつ執拗な働き掛けを行いその対価を受領した行為は、県民全体の利益のために行動すべき県議会議員の職責にそぐわず、公職者の政治活動の廉潔性及び県民の信頼を害するものであるとして、被告人の刑事責任は重いと判示した。もっとも、前科がないことなどの事情を考慮し、懲役2年・執行猶予3年、追徴金50万円を言い渡した(求刑:懲役2年、追徴)。