殺人、殺人未遂被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、採石場でダンプトラック(重量約72.3トン、全長約10.3m、幅約6.9m、高さ約5.05m)の運転に従事していたところ、令和6年10月4日午後2時30分頃、北九州市内の採石場において、上司(班長)や同僚への日頃の不満から怒りを爆発させ、前方に立っていた上司のB(当時51歳)及び同僚のC(当時61歳)に向けてダンプトラックを加速進行させた。さらに、駆けつけた現場監督D(当時50歳)が乗車する普通乗用自動車に向けても進行させてこれを轢過した。この一連の行為により、Bを胸腹部圧迫による多発外傷で死亡させて殺害し(殺人既遂)、Cについては回避により、Dについては車外への脱出により、それぞれ殺害の目的を遂げなかった(殺人未遂2件)。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯行の危険性が極めて高いことを重視した。本件ダンプトラックは重量70トン超の巨大車両であり、轢かれたランドクルーザープラド2台が原型をとどめないほど潰れている。被告人は、同僚Cが左に回避した後もダンプトラックを切り返して同人を狙い、車体が一旦停止した際も後退させて再前進させるなど執拗に攻撃を繰り返しており、強固な殺意が認められるとした。動機については、上司からのパワハラ的言動や同僚の荒い積込みへのストレス等の背景に同情の余地が全くないとはいえないものの、勤務先も体調に配慮してダンプ運転を担当させるなどしており、不満と殺人行為との間には飛躍があるとして、有利に考慮することはできないとした。計画性がないこと、前科がないこと、未遂2名に各150万円の損害賠償金を支払ったこと、事実を認めて謝罪していることなどを考慮しても刑事責任は重大であるとし、量刑傾向を踏まえ有期懲役刑の上限(20年)では足りないとして、無期懲役を選択した上で酌量減軽し、懲役23年を言い渡した(求刑懲役28年)。