損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和6(ネ)10084
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2025年6月16日
- 裁判官
- 水野正則
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和5(ワ)70607
AI概要
【事案の概要】 「遠隔操縦無人ボート」に関する特許(特許第3939710号)を有していた控訴人が、被控訴人製品(無人ボート)は本件発明の技術的範囲に属し、被控訴人による製造・販売等が特許権侵害に当たると主張して、不法行為に基づく損害賠償1000万円(総額5500万円の一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。原審は被控訴人製品が本件発明の技術的範囲に属しないとして請求を棄却しており、控訴人がその取消しを求めて控訴した。 【争点】 (1) 構成要件J(第1制御装置)の文言侵害の成否。具体的には、自動回帰発動条件①(通信途絶時)と②(電源残量半分以下時)の両方の判断機構を備えることが必要か、いずれか一方で足りるかが争われた。控訴人は「または」の文言から選択的に充足すれば足りると主張し、仮に両方の判断機構が必要としても被控訴人製品は充足すると主張した。 (2) 均等侵害の成否。控訴人は、被控訴人製品が電源残量20〜30%で自動回帰する構成は「半分以下」と均等であり、出願時のリチウムイオン電池の性能からは20〜30%との構成を容易に想到できなかったと主張した。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、構成要件Jの「第1制御装置」は自動回帰発動条件①及び②のいずれに係る判断をも行うことができる機構を備えるものと解されると判示した。明細書の図8のフローチャートにおいて、通信信号の受信を確かめた場合にはさらに電源残量の確認ステップに進む構成が示されており、二つの条件を別々に備える二つの発明ではないことは明らかとした。被控訴人製品は電源残量半分以下で自動回帰する構成を備えないため、構成要件Jを充足しない。均等侵害についても、両条件の判断機構を備えることは本件発明の本質的部分であり第1要件を欠くこと、及び補正経過から「半分以下」以外は意識的に除外されたとして第5要件も欠くとして、均等侵害も否定した。