特許権侵害差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 韓国パンテック社が、LTE通信規格に準拠したスマートフォン(Pixelシリーズ)を販売するグーグル合同会社に対し、PHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル)のOFDMシンボルへのマッピング方法に関する特許権(標準必須特許・SEP)の侵害を主張し、特許法100条1項に基づき被告製品の譲渡等の差止めを求めた事案である。原告は本件特許についてFRAND宣言をしていた。被告は、構成要件の非充足、進歩性欠如による無効、及びFRAND宣言に基づく権利濫用を主張して争った。 【争点】 1. 構成要件Hにおける「m'」(PHICHグループのインデックス)の充足性 2. 先行文献(乙23発明)に基づく進歩性の有無 3. 標準必須特許に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるか 【判旨】 請求認容(差止め認容・仮執行宣言付き)。争点1につき、被告製品が準拠する本件規格では「m'」はPHICHマッピングユニットの番号と定義されるが、通常サイクリックプレフィクスの場合にはm'=m(PHICHグループの番号)と定義されており、実質的に同一のマッピング方法を示すものとして構成要件充足を認めた。争点2につき、副引例の乙26寄書にはOFDMシンボルごとの利用可能なREG個数の比にセルIDを乗じて周波数領域インデックスを決定するという相違点2に係る構成が開示されておらず、乙23発明に乙26発明を適用しても本件発明の構成に至らないとして進歩性を肯定した。争点3につき、FRAND宣言をした標準必須特許権者による差止請求は、実施者がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しない特段の事情がない限り権利濫用となるとの判断基準を示した上で、被告が裁判所の和解勧告に同意しながらも大合議方式に基づく和解案の提示を拒み、侵害品の販売額・販売台数の開示すら行わなかったことから、ライセンスを受ける意思を有しないと認定し、差止請求は権利濫用に当たらないと判断した。