AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「溶解炉」とする特許第6498843号(非鉄金属溶解炉に関する発明)の特許権者である被告らに対し、原告が無効審判を請求した事案である。特許庁は、請求項1・2・6に係る発明は甲3発明(平成9年公知のタワー型非鉄金属溶解保持炉)に基づき進歩性を欠くとして無効としたが、請求項3〜5に係る発明については審判請求を成り立たないとした。原告は、請求項3〜5に関する審決部分の取消しを求めて本件訴えを提起した。 【争点】 (1) 取消事由1:本件発明3(温度調整バーナーがフラットフレームバーナー)の進歩性判断の誤り。甲3発明のリジェネレーティブバーナーをフラットフレームバーナーに変更する動機付けの有無及び阻害要因の有無。 (2) 取消事由2:本件発明4(温度調整部に熱交換器を備える構成)の進歩性判断の誤り。 (3) 取消事由3:本件発明5(温度調整部が扉を有しない閉システム)の進歩性判断の誤り。 (4) 取消事由4:請求項1への「閉システム」追加補正が新規事項の追加に当たるか。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、甲3発明は平成9年時点でフラットフレームバーナーが周知であったにもかかわらず、省エネルギー効率等の観点からあえてリジェネレーティブバーナーを採用したものであり、当業者がこれをフラットフレームバーナーに変更する動機付けは認められないと判断した。リジェネレーティブバーナーは国のプロジェクトで研究開発が推進され、税制優遇・補助金の対象にもなっていたことも考慮された。取消事由2・3についても、フラットフレームバーナーへの変更の動機付けが認められない以上、熱交換器の付加や扉の省略の容易想到性を論じる前提を欠くとした。取消事由4については、当初明細書の記載から温度調整部が閉システムであることは読み取れるため、補正は新規事項の追加に当たらないとした。