AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和6年2月12日午後6時47分頃から同日午後6時52分頃までの間、札幌市内の路上において、通行人から金品を強奪しようと考え、人通りの少ない夜間に一人歩きの女性(当時23歳)の背後から口を右手で塞ぎ、首元付近に刃体約19センチメートルの包丁を突き付けて「大人しくして。」「お金がなくて。」などと脅迫し、反抗を抑圧して現金約9150円入りの財布等17点(時価合計約1万2800円相当)を奪い、右手擦過傷(全治約1週間)の傷害を負わせた強盗致傷の事案である。 【争点】 犯人と被告人の同一性が争点となった。弁護人は、被告人が犯行現場に到達する時間的余裕がなかったこと、包丁の入手経路が不明であること、犯行動機がないことなどを主張した。裁判所は、(1)防犯カメラ映像により犯人と被告人の容姿・着衣が酷似し、灰色フード付きコートの前面上部のみを閉じるという特徴的な着方まで一致すること、(2)犯行前後の行動経路が整合し、被害者の後方約52秒差で同地点を通過した被告人と被害者の間に他の通行人が存在しないこと、(3)犯人がスマートフォンを見る仕草をした約3秒後に被告人が母親に電話をかけていること、(4)犯行経路上や被告人が立ち寄ったコンビニ付近で被害品が発見されたこと、(5)犯行現場の足跡痕が被告人の長靴と同種であったこと等の多種多様な合致点が偶然重なることは考え難いとして、被告人が犯人であると認定した。被告人が犯人でないとすれば、着衣や着方まで類似する第三者が極めて限定された時間・場所に現れたことになり、常識的にあり得ないと判断した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、夜間に一人歩きの女性を狙い波刃包丁を首元に突き付けた犯行態様は危険かつ悪質であり、一度逃げた被害者を追いかけて再度包丁を突き付けるなど執拗さも認められるとした。傷害結果は比較的軽微で財産的被害も多額ではないが、被害者が受けた恐怖感や精神的苦痛は大きく、パチンコで金を使い果たし闇バイトに応募するなどした犯行動機にも酌むべき点はないとした。刃物を用いた路上強盗の同種事案の量刑傾向も考慮し、反省の態度がみられないことから、酌量減軽はするものの、求刑懲役7年に対し懲役5年(未決勾留日数340日算入)を言い渡した。