損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「微細粉粒体のもれ防止用シール材」に関する特許(特許第4818622号)の共有持分を有する三和テクノ株式会社(控訴人)が、被告製品(トナーカートリッジ用シール材)を製造販売する槌屋ティスコ株式会社及び株式会社槌屋(被控訴人ら)に対し、特許権侵害の共同不法行為に基づく損害賠償として1億円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は、被告製品が構成要件1C(地糸の経糸又は緯糸の径がパイル糸の径より細い構成)及び構成要件1E(使用状態での角度θと角度φの大小関係)を充足しないとして請求を棄却しており、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、①構成要件1Cにおける糸の「径」の解釈及び被告製品の充足性、②構成要件1Eの充足性及び間接侵害(特許法101条1号)の成否、③均等侵害の成否である。控訴人は控訴審で、「径」は字義どおりの直径ではなく糸の太さの大小関係を意味すると主張し、繊維断面積の総和による比較方法を提示した。また、被告製品がキヤノン製トナーカートリッジへの専用品であるとして間接侵害を主張し、さらに均等侵害も追加主張した。被控訴人らはこれらを時機に後れた攻撃防御方法として却下を求めた。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず、時機に後れた攻撃防御方法の主張については、いずれも訴訟の完結を遅延させるものとは認められないとして排斥した。構成要件1Cの「径」については、製品状態の糸は加圧・加熱や撚りの程度により見た目の径が変化し一義的把握が困難であるため、原糸状態の糸の太さ(デニール数と比重から断面積を算出する方法)を意味すると解釈した。その上で、被告製品では原糸状態の経糸の径がパイル糸の径より大きいとの測定結果(乙21・22)から、構成要件1Cを充足しないと判断した。構成要件1Eについても、被告製品のパイル糸が配列方向から角度θだけ開く方向に傾斜する斜毛状態になることを認めるに足りる証拠がないとし、間接侵害についてもキヤノンが角度θ<角度φで取り付けている立証がないとして否定した。均等侵害については、出願経過において控訴人が構成要件1Cを発明の特徴的かつ不可欠な構成として強調していたことから、第5要件(意識的除外)の特段の事情が認められるとして成立を否定した。