AI概要
【事案の概要】 被告人が、独り暮らしの高齢被害者(当時85歳)を殺害して金品を強取しようと考え、令和5年2月3日、福島県いわき市の被害者方において、殺意をもって被害者の頭部等をネイルハンマーで多数回殴打し、重症頭部外傷に基づく出血性ショックにより死亡させたとされる強盗殺人の事案である。原審は強盗殺人罪の成立を認め、被告人が控訴した。 【争点】 弁護人は事実誤認を主張し、(1)被告人が到着する前に第三者が被害者を殴打して物色した可能性がある、(2)被告人には金品強取の目的がなかった、(3)被告人には殺意がなかった(パニック状態で殴打した、解離性同一性障害や解離性健忘の可能性がある)と争った。被告人は、被害者が玄関先で血を流して倒れており、人影に襲われると思いパニックになった結果ネイルハンマーで殴打してしまったと供述していた。 【判旨】 控訴棄却。仙台高裁は原判決の判断を正当として是認した。第三者犯行の可能性については、防犯カメラ映像から犯行可能時間が極めて限られていること、被害者の11個の挫裂創が被告人所持のネイルハンマーと矛盾しないこと、遺留足跡の多くが被告人の靴と一致することを総合し、物色した人物は被告人のみであると認定した。強盗目的については、約14分間という短時間で殴打と物色を手際よく実行していること、犯行数日前のメモによる計画性、手袋とネイルハンマーの準備、被害者が資産家であることの認識、被告人の経済的困窮を総合し、不在時は侵入盗、在宅時は強盗も辞さない計画であったと認定した。殺意については、頭部への多数回殴打という客観的に死の危険性の高い行為であり、パニック供述が信用できない以上、殺意が認められるとした。弁護人が主張する解離性障害等の可能性も証拠がなく排斥された。