課徴金納付命令決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、香港に本店を置くヘッジ・ファンドの運用会社である原告が、平成25年9月25日の日経平均構成銘柄入替え前日に、証券会社との間で引値保証取引(マッチング取引)を積極的に締結し、想定買入株数約1900万株の約8割に当たる合計1517万3000株の引渡債務を負った上で、大引け前30秒間(午後2時59分30秒から午後3時まで)に、成行又は高指値で合計919万8100株もの大量の買い注文を連続発注して株価をストップ高まで急騰させた行為について、金融庁長官が金融商品取引法159条2項1号(現実取引による相場操縦の禁止)違反を認定し、課徴金6億8424万円の納付を命じたところ、原告がその取消しを求めた事案である。 【争点】 本件取引が「取引を誘引する目的」(誘引目的)をもって行われたか否か。原告は、本件取引はインデックス・ファンドの需要を反映した実需に基づく合理的な取引であり、時間発展リスク及び未約定リスクの最適化の観点から大引け間際に注文を集中させたことには合理性があるなどとして誘引目的を争った。 【判旨】 裁判所は、誘引目的とは人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものと誤認させて売買取引に誘い込む目的をいい、人為的な操作を加えて相場を変動させる意図があれば足りるとした上で、以下の事情を総合して誘引目的を認定し、原告の請求を棄却した。すなわち、原告は引値保証取引を積極的にかき集めて買い需要の大半を一社に集中させ相場を支配し得る地位を得たこと、大引け前30秒間に売り注文総量を大幅に上回る成行・高指値の買い注文を連続発注し買付関与率がザラバで約94.6%に達したこと、引け条件付き買い注文を一切行わなかったこと、過去に同様の取引で証券会社から相場操縦の警告を受けていたこと、本件ガイドライン等の規制内容を十分認識しながらあえて本件取引を行ったこと等から、原告には株価を変動させる意図があったと認められるとした。実需があることや原告にとって合理的であることは誘引目的を否定する理由にならないとも判示した。