政務活動費返還履行請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 宮城県議会の会派「自由民主党・県民会議」に所属する議員5名が、平成29年6月から令和4年2月までの間、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が主催する会合等に出席するための交通費等合計約50万円を政務活動費から支出した。地方公共団体の不正監視を目的とする権利能力なき社団である原告が、これらの支出は宮城県議会における政務活動費の交付に関する条例の使途基準に反する違法な支出であり、会派は不当利得返還義務を負うにもかかわらず、宮城県知事がその返還請求を怠っていると主張し、地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟を提起した事案である。 【争点】 (1) 各支出の使途基準適合性(違法性):旧統一教会関連団体の会合等への参加に要した経費が、条例別表の定める調査研究費(県の事務・地方行財政等に関する調査研究に要する経費)に該当するか。特に、意見交換を伴う活動であったか、県政との合理的関連性があったかが個別に争われた。(2) 平成29年度分の不当利得返還請求権の消滅時効の成否。(3) 会派が悪意の受益者に当たるか。 【判旨】 裁判所は、政務活動費の支出の適否は条例の使途基準への合致を基準に判断すべきであり、調査研究活動は広範な分野にわたり議員の広範な裁量に委ねられるとしつつも、裁量には限界があり、活動内容や県政との関連性等に照らし調査研究の必要性が認められない場合は違法になると判示した。旧統一教会が社会的批判を受ける団体であることは公知の事実だが、そのことのみで経費支出の必要性を否定できないとした。個別の検討では、ピースロードフェスティバルへの参加(管理番号5、9、17)は式典目的の集まりであり参加者との会話も雑談の域を出ず調査研究の実質を伴わないとして違法と認定し、意見交換を伴わない講演参加(管理番号35)も違法とした。他方、東アジア情勢等についての意見交換を伴う会合等については、県政との関連性を否定できないとして違法とは認めなかった。結論として、会派は合計3万5000円の不当利得返還義務を負うとし、原告の請求をその限度で認容し、その余を棄却した。悪意の受益者には当たらないとして利息請求は棄却した。