差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「エンリケ」の芸名で知られる元キャバクラ嬢である被控訴人が、元夫(訴外A)が経営に関与する控訴人ら3社に対し、被控訴人の肖像及び「エンリケ」等の名称を営業上使用する行為がパブリシティ権を侵害するとして、肖像・名称の使用差止め、ウェブページからの削除、ドメイン名の削除等を求めた事案の控訴審である。被控訴人は控訴人空間の代表取締役を務めていたが、訴外Aとの離婚に伴い辞任しており、原審は被控訴人の請求を全部認容したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 主たる争点は、被控訴人の名称及び肖像の使用について被控訴人の同意(使用許諾)があったか否かである。控訴人らは、被控訴人が代表取締役在任中に商標登録や多数のフランチャイズ契約締結に関与しており使用に同意していたこと、離婚後もLINEで事業への協力を表明していたことから、同意は継続していると主張した。被控訴人は、名称不使用を話し合った上で離婚・辞任しており、離婚直後のLINEは訴外Aの脅迫的言動による恐怖下でのものであって同意に当たらないと反論した。また、控訴人らの当審における新証拠提出が時機に後れた攻撃防御方法に当たるかも争われた。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、パブリシティ権が人格権に由来する権利であることを確認した上で、被控訴人名称及び肖像の使用許諾について明確な契約が存在しないことを指摘し、当事者の関係性に照らせば、被控訴人が控訴人空間の役員としてその運営に関与し訴外Aとの婚姻関係が維持されている間に限り使用を許諾するものであり、これらの関係の終了により許諾も当然に終了すると判断した。離婚後のLINEについても、婚姻関係の清算を目指したものとする被控訴人の主張には理由があり、名称等の使用許諾に当たるとは解されないとした。商標登録やフランチャイズ契約の存在も、離婚・退任後の使用同意を推認させるものではなく、適切な代償措置もないため社会的相当性を欠くとした。なお、時機に後れた攻撃防御方法の却下申立ては認めなかった。