AI概要
【事案の概要】 被告人両名は、カンボジア王国内のカジノホテルに滞在し、中国人らが主導するFX取引投資詐欺グループにおいて、日本語の文章をより自然な表現に修正する作業(本件修正作業)に従事していた。グループは、架空の投資家「F」やアシスタントらを装い、LINEのトークグループを通じて日本人被害者らにFX取引での運用を持ちかけ、被害者2名から合計844万円をだまし取った。被告人Cは月額3000米ドル、被告人Dは月額約2000米ドルの報酬を約束され、食事・宿泊の提供を受けながら作業に従事していた。 【争点】 被告人両名の各弁護人は、いずれも幇助犯が成立するにとどまると主張し、共同正犯の成否が争点となった。裁判所は、本件詐欺が日本語の文章を通じて被害者を信じさせる類型であり、犯行の首謀者が外国人である本件において、日本人の目で不自然さを確認する修正作業は犯罪の成功にとって非常に重要な役割であると認定した。被告人両名は、メッセージの内容等から少なくとも未必的には詐欺行為への加担を十分に認識しながら、一定期間継続して他の日本人とも協力し間断なく作業を実施していたことから、実行行為者との意思の連絡も認められ、共同正犯が成立すると判断した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、組織的に実行された巧妙な犯行であり被害額も合計844万円と多額であること、被告人両名が重要な役割を継続的に果たしていたことから、原則的には実刑が相当とした。一方、被害者2名に対し合計847万円の被害弁償がなされ被害額に相応する事後的回復がされたこと、被告人両名が事実関係を認め反省の態度を示していること、前科前歴がなく相当期間の身柄拘束を受けていることを考慮し、被告人両名をそれぞれ懲役3年・執行猶予4年に処した(求刑:懲役3年6月の実刑)。