傷害、強要、殺人、死体損壊、死体遺棄
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、交際相手である共犯者Aと共謀の上、同居していた知人男性C(当時22歳)に対し、以下の犯行に及んだ。第1に、令和4年11月8日、ホテルにおいて、以前から暴行等を加えられCが被告人らを怖がっていることに乗じ、「大便を食ったらアパートに居させてやる」などと申し向け、被告人ら及びCの大便を食べさせた(強要)。第2に、同月10日、アパートにおいて、Cの頸部をタオル様のもので絞め付け、窒息により死亡させた(殺人)。第3に、同月12日頃から14日までの間、チェーンソー等でCの死体の頸部・両上腕部・両大腿部を切断し、キャリーケースに入れて運搬し地中に埋めた(死体損壊・遺棄)。なお、訴因変更後の傷害の公訴事実については無罪とされた。 【争点】 主な争点は3つあった。第1に、強要罪の成否について、被告人は冗談で言っただけでCが自ら食べたと主張したが、裁判所は、大便を食べる行為は自発的に行うものとは到底考えられず、Cは追い出されることや更なる暴行を恐れて食べたとしか考えられないとして強要罪の成立を認めた。第2に、殺人の態様について、被告人はCのてんかん発作を落ち着かせるためタオルを口と鼻に一瞬押し当てただけと主張したが、裁判所は、発作中は全身に強い力が働くため被告人の主張する行為は困難であること、自首当初にCの首を絞めて殺したと申告していること等から、共犯者Aの供述(2人でタオルを引っ張り首を絞めた)を信用した。第3に、傷害の共謀について、裁判所は、暴行の頻度が明らかでなく継続的暴行の包括的共謀を認めるに足りる証拠がないとして無罪とした。 【判旨(量刑)】 裁判所は、殺人について、積極的な殺意はなかったものの、タオル様のもので被害者が必死に抵抗しても意に介さず執拗に首を絞め続けた行為は相当悪質であり、結果は重大であるとした。被告人は共犯者より従属的立場にあったが、殺人に主体的に関与し、自首しようとした共犯者を引き留め、自ら遺体を切断・遺棄するなどしており、責任は共犯者より大幅に軽いとはいえないとした。強要を含む一連の犯行は被害者の人格・尊厳を著しく軽視したものであるとし、自首の成立や前科前歴がないことを考慮しても、懲役21年(求刑懲役26年)が相当と判断した。