特許権侵害行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 海苔養殖用箱型船に関する特許権(酸処理槽内のシート部材下部に原液吐出部を設け、酸原液が海苔網に直接付着することを防止する構成)を有する原告(光洋通商)が、被告(ダイイチ)による箱型船へのpH自動調整部品の取付け・販売行為が特許権侵害に当たるとして、差止め及び損害賠償金3000万円を求めた事案。被告は、被告製品の流出孔は「原液吐出部」に該当しない、本件特許は進歩性欠如・記載要件違反により無効である、メンテナンス行為は「生産」に当たらないなどと争った。 【争点】 (1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(「原液吐出部」及び「シート部材の下部」の充足性)、(2) 本件特許の無効理由の有無(乙4発明を主引例とする進歩性欠如、明確性・サポート・実施可能要件違反)、(3) メンテナンス行為が特許法上の「生産」に当たるか、(4) 損害額の算定。 【判旨】 一部認容。裁判所は、「吐出」とは酸原液が原液吐出部の内から外へ出るものであれば足り、勢いよく出すことに限定されないと解し、被告製品の垂直チューブの流出孔を含む部分は「原液吐出部」に該当し、構成要件を充足すると判断した。進歩性についても、乙4発明はシングル箱型船を前提とするものでありダブル箱型船への変更の動機付けを欠くとして、無効主張を排斥した。記載要件違反の主張もすべて退けた。他方、特許登録前に取り付けた部品のメンテナンス(pHセンサ交換等)は、消耗品の交換にとどまり本件発明の本質的部分に係る構成を再び充足させるものではないとして「生産」に該当しないと判断した。損害額については、本件発明の特徴的部分(原液吐出部の位置)は箱型船全体のごく一部で顧客誘引力も低いとして99%の推定覆滅を認め、特許法102条3項に基づく実施料率8%による算定額93万2500円を損害額と認定した。