商標権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、登録商標「2ch」(標準文字、第38類・第42類)の商標権者であり、かつて「2ちゃんねる」を運営していた者である。被告ロキテクノロジー社(フィリピン法人)は、電子掲示板「5ちゃんねる」を運営しており、DNS転送機能の設定画面において転送元ドメイン名として「2ch.net」を入力し、ユーザーがブラウザで「2ch.net」にアクセスすると「5ch.net」に自動転送される設定をしていた。原告は、このDNS設定における文字列入力行為(本件入力行為)が商標法2条3項8号所定の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して」の使用行為に該当し、商標権を侵害するとして、被告ら(ロキ社、その関係者、専用ブラウザ開発者、広告代理会社)に対し、連帯して損害賠償3億6000万円等の支払を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告ロキ社によるDNS転送設定画面への文字列入力が商標法2条3項8号の「使用」に該当するか、(2)故意又は過失の有無、(3)被告ら個人・法人の共同不法行為の成否、(4)損害額であった。中心的争点は、DNS設定画面にドメイン名として被告標章を入力する行為が、商標法上の「使用」といえるかであった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、被告ロキ社が被告標章を入力したDNS転送機能の設定画面は管理者のみがアクセスできるものであり、インターネット上のユーザーの目に触れるものではないから、「役務に関する広告を内容とする情報」とはいえないと判断した。また、仮に本件入力行為を被告標章のドメイン名としての使用と善解したとしても、同号の「使用」とは標章をドメイン名として使用する行為自体をいうのではなく、広告等を内容とする情報に標章を付する行為をいうのであるから、本件入力行為は同号の使用に該当しないとした。商標権侵害が認められない以上、その余の争点(過失、共同不法行為、損害額)について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないとして棄却した。