国家賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 滋賀県の病院で平成15年に入院患者が死亡した事件につき、殺人罪で逮捕・起訴され、懲役12年の有罪判決を受けて服役した後、再審で無罪判決を受けた原告(看護助手)が、被告滋賀県及び被告国に対し、違法な捜査活動、違法な公訴提起、再審開始決定に対する違法な特別抗告により損害を被ったとして、国賠法1条1項に基づき約5464万円の損害賠償を求めた事案である。原告は約13年1か月間身体拘束を受け、刑事補償として約5998万円の交付を受けていた。 【争点】 主な争点は、(1)滋賀県警の取調べの違法性、(2)証拠の不送致の違法性、(3)鑑定医への違法な働きかけの有無、(4)公訴提起の違法性、(5)検察官が取調べを是正しなかったことの違法性、(6)否認調書不作成の違法性、(7)捜査資料送致の監督懈怠、(8)再審開始決定に対する特別抗告の違法性、(9)因果関係ある損害及びその額である。 【判旨】 裁判所は、被告滋賀県に対する請求を一部認容し、被告国に対する請求を棄却した。取調べの違法性について、H警察官が原告に自白方向の供述書を作成させ自発的供述を装う外観を作出したこと、人工呼吸器の消音状態維持機能の認識について供述を誘導したこと、弁護人への信頼を失わせる不当な働きかけにより虚偽自白を維持させたことを認定し、社会通念上相当な範囲を超える違法な取調べと判断した。証拠不送致についても、H報告書等を大津地検に送致しなかったことは違法と認定した。他方、公訴提起や特別抗告については違法性を否定した。損害については、身体拘束期間中の逸失利益・慰謝料は刑事補償金により補填済みとし、満期釈放後の逸失利益約2147万円、民事再審弁護士費用200万円、満期釈放後の慰謝料500万円等を認め、被告滋賀県に対し合計3131万4841円の支払を命じた。