AI概要
【事案の概要】 殺人・現住建造物等放火事件で起訴され、差戻前第一審で無期懲役、差戻前控訴審で死刑とされたものの、最高裁が原判決を破棄差戻し、差戻後第一審で無罪判決を受けて確定した原告が、捜査・公訴提起・公訴追行等が違法であったとして、国家賠償法1条1項に基づき、被告国及び被告府(大阪府)に対し、連帯して約1億2400万円の損害賠償を求めた事案である。原告は、①検察官の公訴提起の違法、②公訴追行の違法、③警察官による証拠物(たばこの吸い殻71本)の紛失に係る違法、④公判担当検察官が紛失の事実を弁護人に伝えなかったことの違法を主張した。 【争点】 (1) 検察官の公訴提起が国賠法上違法か、(2) 検察官の公訴追行が国賠法上違法か、(3) 警察官による証拠物紛失について警察官・検察官に違法があったか、(4) 公判担当検察官が証拠物紛失の事実を弁護人に開示しなかったことが違法か、(5) 原告の損害額。 【判旨】 裁判所は原告の請求を全部棄却した。争点(1)につき、公訴提起時に現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査により収集し得た証拠資料を総合勘案すれば、合理的な判断過程により有罪と認め得る嫌疑があったと判断することが合理性を欠くとはいえないとした。争点(2)につき、上告審判決後も、吸い殻の変色原因に関する追加立証や新たな間接事実の立証により有罪判決を期待し得る状況にあったとして、到底有罪判決を期待し得ない状況で漫然と公訴を追行した特段の事情は認められないとした。争点(3)につき、紛失時点で警察官・検察官が当該証拠物が審理上重要であることを知り又は容易に予見できたとは認められないとした。争点(4)につき、弁護人の開示申出の文言上、紛失した吸い殻自体は開示対象に含まれておらず、検察官の回答が積極的な防御権侵害行為とは評価できないとした。