道路廃止処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 成田国際空港の事業用地内にある千葉県成田市の市道(通称「団結街道」、全長1278m)について、処分行政庁が平成22年3月に道路法10条1項に基づき路線廃止処分を行い、同年6月に被告成田国際空港株式会社(被告空港会社)に払い下げた上、被告空港会社がフェンスを設置して道路を封鎖した。これに対し、沿道で農業を営む原告A1ら及び三里塚芝山連合空港反対同盟が、被告成田市に対して路線廃止処分及び用途廃止処分の取消しを、被告空港会社に対して人格的通行権等に基づく通行妨害禁止及び工作物収去を求めた事案である。なお、訴訟係属中に原告3名が死亡し、訴訟承継の可否も争点となった。 【争点】 (1) 死亡した原告らの訴訟承継の可否、(2) 取消訴訟の原告適格、(3) 路線廃止処分の道路法10条1項違反の有無、(4) 路線廃止処分の違憲・違法性、(5) 用途廃止処分の存否、(6) 被告空港会社に対する人格的通行権・農地賃借権・不法行為等に基づく各妨害排除請求権の有無。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも退けた。まず、死亡した原告3名については、公道通行の利益は一身専属的な人格的利益であり相続による承継は認められず、訴訟は死亡により終了したと判断した。原告適格については、本件道路沿いで農業を営む原告A1ら3名にのみ認め、その余の原告らには認めなかった。路線廃止処分の適法性については、市町村道の路線廃止は市町村長の合理的裁量に委ねられており、空港西側誘導路整備のための付替えは「一般交通の用に供する必要がなくなった場合」に該当すると判示した。代替道路及び耕作地進入路が整備されており、原告A1に耕作上の不便は生じたものの著しい支障とまではいえず、裁量権の逸脱・濫用はないとした。用途廃止処分については、路線廃止処分により道路の供用は自動的に消滅するため独立の処分は存在しないとして訴えを却下した。被告空港会社に対する各妨害排除請求についても、公道通行の利益は反射的利益にすぎず人格的通行権の前提を欠くこと、適法な廃道後の封鎖により権利侵害は認められないこと等から、いずれも理由がないとして棄却した。なお、裁判所は付言として、公道廃止に当たっては利害関係住民への事前の丁寧な説明が必要ではないかと指摘した。