特許権侵害損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「弾塑性履歴型ダンパ」に関する特許権(特許第5667716号)を有する控訴人(Next Innovation合同会社)が、被控訴人(大和ハウス工業株式会社)に対し、被控訴人が製造・販売する住宅に組み込まれたΣ形ダンパが本件特許の技術的範囲に属するとして、特許法102条3項に基づく損害賠償金1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原審は被告製品がいずれも本件各発明の技術的範囲に属しないとして請求を棄却し、控訴人が控訴した。控訴審では、特許無効審判の確定を受けて訂正後の発明(本件各訂正発明)に基づく主張に変更された。 【争点】 主な争点は、①被告ダンパが構成要件Gの「入力」を受けるものか、②弾塑性履歴型ダンパに当たるか、③「補強部」の存否、④「一対のプレート」への接続の有無(構成要件D)、⑤被告Σ形ダンパ1〜4の均等侵害の成否、⑥被告製品における作用効果の奏功性、⑦包袋禁反言による権利行使制限の可否である。特に④が結論を分けた中核争点であり、被告ダンパの両端が「一対のプレート」に接続されているか否かが詳細に検討された。 【判旨】 知財高裁は、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた被告製品については本件各訂正発明の技術的範囲に属すると認め、その余の被告製品については技術的範囲に属しないと判断した。構成要件Gの「入力」は特定方向に限定されず、被告ダンパは弾塑性履歴型ダンパに当たり、平行板部は「補強部」に該当するとした。構成要件Dについては、被告Σ形ダンパ5及び6のデバイス補剛材の接続プレート・補剛材が「一対のプレート」に該当する一方、被告Σ形ダンパ1〜4は構造物に直接溶接されプレートが省略された構成であるとして充足を否定した。均等侵害についても、明細書にプレート省略可能との記載があることから意識的除外の特段の事情(第5要件)を認め、否定した。以上により中間判決として損害賠償請求の原因の一部を認容した。