特許権侵害差止請求事件、特許権侵害損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法及び予約管理プログラム」に関する特許(特許第5931837号)の特許権を有する原告(薬局・医療向けソリューション提供会社、「EPARKくすりの窓口」等を運営)が、被告(医療関連サービス提供会社、患者向けアプリ「Pocket Musubi」を運営)に対し、被告のシステムが本件特許の請求項7(予約管理システム)及び請求項8(予約管理方法)の技術的範囲に属するとして、特許法100条に基づく差止め・廃棄並びに不法行為に基づく損害賠償1億円(総額約12億7050万円の一部請求)の支払を求めた事案である。本件特許は、利用者が処方箋画像をスマートフォン等から薬局に送信し、店舗端末で判読可能性を確認した上で画像印刷装置に送信する予約管理システムに関するものである。 【争点】 主な争点は、①被告システムによる直接侵害の成否、②被告システムの本件各発明の技術的範囲への属否(構成要件7A・8Aの「画像印刷装置と通信可能に接続される予約管理装置」の充足性、構成要件7C-2・8Cの充足性、構成要件7C-3・8Dの「利用者の店舗端末に対する操作に応じて受信された画像データを画像印刷装置に送信する」の充足性)、③均等侵害の成否、④無効理由の有無(サポート要件違反、実施可能要件違反、乙3発明・乙4発明を主引用例とする進歩性欠如)、⑤原告の損害額である。 【判旨】 裁判所は、構成要件7C-3及び8Dの充足性と均等侵害の成否を中心に検討した。まず、構成要件7C-3・8Dにおける「前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」とは、予約管理装置が利用者端末から受信した画像データを画像印刷装置に送信することを意味すると解釈した。被告システムでは、薬局端末の操作によりプリンタに送信される画像データはサーバ(予約管理装置)が患者端末から受信したデータではなく、サーバから薬局端末が受信し薬局端末のメインメモリに保存されたデータであるから、構成要件7C-3及び8Dを充足しないと判断した。均等侵害についても、店舗端末の操作を契機として画像データが予約管理装置から画像印刷装置に送信されるという構成は本件各発明の本質的部分であるところ、被告システムはこの本質的部分を備えていないから、均等の第1要件を欠き成立しないとした。以上より、請求をいずれも棄却した。